九鍵島。
四鍵島・七鍵島の隣の、大陸近くにある島である。 四鍵島や七鍵島は面積も広く、大陸からの距離も比較的近いため、それなりに発展している。九鍵島はそれらに比べると人口も少なく発展が遅れている。そんな事情もあってか、この島はいつからか九鍵の訳「9key」にかけて「空気島」と呼ばれるようになっていた。
2015年4月1日の朝。 快晴の下、僕は船旅を終えてその空気島、ではなく九鍵島の港に降り立っていた。 「やっぱり人が少ないなぁ」 休日にも関わらず、人はまばらだ。自分の住む島と比べると活気がないのは明らかである。 でも今回はのんびりするための旅行だしそれでも良かった。
一息ついて、これからの行動をどうするかを考える。一泊で帰る予定ではあるのだが、何も計画を立てていないせいで行く所がまるで決まっていない。 「とりあえず街の方に出るか…」 一応「空気島」とは言っても街に出れば何かしらはある。そう思い歩き出しながら、ふと空を見上げると、雨も降っていないのにキレイな虹がかかっているのが見えた。 「すごい…」 僕はこの旅で何かが起こるような気がして、若干の期待をしながら再び歩を進めた。previous scene